LAPIN NOIR

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シェリーへ



 7月に入って写真を組んだ。過去写真はあと2、3作程まとめたいのに進捗が悪い。それでも先月撮った写真を入れながら、数枚を2枚に絞り、「蛾と花」にした。その写真を見ながらシェリーを思い浮かべたのは、春先に詩集を1冊手放したからだ。書店で普段は読まないタイプを探し、引っかかるものがあったから買ったとは思うが、随分前の話でそれが何だったのか覚えていないし、ページをめくることは殆どなかった。
 「星を求める蛾の願い」はシェリーの愛の詩に出てくる句のひとつ。絶対届くことのない光への渇望。蛾であるが故に、儚い命ながらも懸命に生きることを想像させる世界観は美しい。10~20代にかけて大きなロマンを抱くことが強い原動力となって、後に大成する人は多く、周りに驚くようなスケールの友人もいるけれど、私はどうかと言えば絶対に手の届かないであろう願いは持たない。星も実際に見たほうが綺麗だと感じるせいか撮りたいと思ったことはない。ただ、悲しい結末と分かっていても求めてしまう性というのはあるから、そういう視点であれば共感してしまうし、健気な人の魅力に惹かれる時は、自分の心の片隅にシェリーの分身がいるのかもしれない。
 たとえ星への願い叶わなく堕ちたとしても、花として昇華できればもっと美しいんじゃないだろうか。写真を暫く眺めていると、白い花にならなれそうな気がしてくる。ほんの夢の続きだけれどシェリーは何て言うだろうか。

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2021.7.21 記