LAPIN NOIR

Blog | Photographer | Sapporo

異国

 

 

 東京や京都は、まるで異国のよう。そう思う私は田舎者かもしれない。親近感を覚えるのは、欧米の雪が降る地域だろうか。本州と離れている北海道島の、北海道とも違う札幌。

 私が札幌の写真を撮る理由は、生まれてからずっと住んでいるからに他ならない。写真を始めた頃、主な被写体は動物や生き物、植物だった。後に傍らで撮っていた街のスナップに重きを置くようになっていった。若い世代に興味があったのと、再開発で変わっていく姿を受け入れていきたいと思ったからだ。生まれ育ったのが下町にあたる地域で、自分にとって身近な場所だったことも関係している。撮り続けていると、街や人々に対して偏った見方による否定的な考えは薄れ、寛容になった。とはいえまだ、受け入れられないこともあったりする。

 そしてある日、私のもとに1通のメールが届いた。

 受信ボックスを開くと、instagramで相互フォローしている海外の方からだった。物騒な世の中なのでちょっと考えたけれど、内容や他のSNSを見て判断し、数回メールで交流することにした。その方は、日本、日本文化、日本人が好きで、旅行にも来られ、私が投稿した写真に興味を持ってくださったみたいだ。写真活動についての質問にお答えし、あちらの文化、芸術などを教えていただいた。けれども、その方の住む国は私にとって長い間、馴染みの無い国で、強く意識し始めたのは去年のウクライナ問題からだった。周辺国に翻弄されながらも、自由と独立のため、苦難の歴史を歩んできた美しい風景が広がる小さな国だ。
 今回、文化的な繋がりがあることを知り、その国出身の映画監督が日本と共同制作をしていたことがとても興味深かった。日本の有名な女優さんが数作、出演しており、当時「街の美しさ、人々の美しい考え方、強さは、日本人のお手本になる」と語っていた。ロシアとの位置関係を日本と比べてみても、実は遠くて近い国であることがわかった。
 さっそくその映画を検索するとショート映像が出てきた。あとで本編も見たが、昔の札幌のイメージを強く感じたシーンがあり、アングルが特徴的で、郷愁を漂よわせつつも古臭くなく、かえってモダンだった。異国の風景に見た懐かしさは、私が住むこの街を思い起こさせ、新鮮な魅力までも伝えてくれたような気がした。